発想の転換「リバースWeb解析」のススメ

改善につながるKPI作戦

投稿日:2011/10/12 作成者:清水 誠

改善につながるKPI作戦

アクセス解析は組織のプロセス改善

アクセス解析の現場では「社内で理解を得られず、リソースを投入出来ない」「得られたデータや分析結果を活かせない」という悩みが多いようです。筆者も世界レベルの大規模サイト群と小さなECのアクセス解析を担当した際、同じような壁に何度も遭遇しました。

  • データをどう活用すべき?
  • 組織をどう動かす?
  • 仮説なき解析はムダ?
  • 分析するだけのアナリストに価値はない?

ビジネスにおけるWebの重要度が高まり、組織として戦略的にWebの企画・制作・運用・改善に取り組む必要がある今、アクセス解析は単なる「調査や分析」ではなく「組織における意思決定プロセスの構築と運用」として捉えるべきしょう。

だからこそ、

  • 誰が何を意思決定するのか?
  • 何をどう表せば効果的に伝わるのか

を意識する必要があります。

とはいえ、これは簡単には実現できません。最初から大げさに考えて風呂敷を広げてしまうと、かえって進まなくなったり、失敗する確率が高まってしまい支持やモメンタムを失う、というリスクもあります。

発想を転換して工程を逆流すると…

そこで、発想を転換した逆流のアプローチ「リバースWeb解析」について紹介します。そんなに難しいことはなく、現実的に実行できる改善は何かを洗い出し、それに関わる意思決定に必要なデータの見せ方を決め、欲しいデータを計測するために必要なツールの選定・設計、と逆流していくのです(図1)。

図1:リバースWeb解析の流れ

図1:リバースWeb解析の流れ

1.サイトのゴールは何か?

そもそも、そのサイトはどのような状態になるのが望ましいのでしょうか?ここでは、「売上増」「会員獲得」のようなあいまいで部分的なゴールではなく、関係する人たちを十分に洗い出して、それぞれのステークホルダーがどのような状態になると最終的にビジネス的な利益に結びつくのかを考えます。そのために、コンセプトダイアグラムという手法が有効です。

2.実行できる施策は?

サイトのゴールを達成するために、コンテンツ追加、デザイン改善、各種キャンペーン、PR、サービスメニュー変更、価格変更、ソーシャルメディアでの取り組み、といろいろな施策を行なっているはずです。現状の施策に加えて、社内で合意が得られたら実行できそうな施策も含めます。実現の可能性が低い施策をレコメンドしても実行できずに終わるため、ここのフィルタが重要です。思いつきで洗い出すのではなく、各部署から「本当はこれをやってみたいんだけど…」「以前に提案した時に根拠が足りないと却下された…」というような現実的な施策を集めると良いでしょう。

3.効果の表現方法は?

洗いだした施策について、何が分かると施策の効果とみなせるのかを考えます。CRMデータやリサーチなど、アクセス解析に限定しないで包括的に考えます。アクセス解析による効果測定が必要ない施策もあるでしょう。

定量的な効果測定については、手書きでラフにレポートのイメージを書いてみるのが重要です。横軸、縦軸の指標の置き方、粒度、セグメント、比較対象。さらには、どんな変化があった場合に何を読み取れるのか?「なるほど」で終わるレポートに価値はありません。

4.誰が何のKPIを追うべき?

施策の効果を表す指標のうち、どれが重要なのか?ピックアップしてKPIにします。さらに、組織の中の誰がどのKPIについて責任を持ち、変化をウォッチしていくべきなのか

戦略的な組織論にもなってくるので深追いは不要ですが、考えておくと社内で調整や提案をする時の説得力が増します。

5.ツール導入・計測

ようやくツールの要件が定まったので、必要なツール・サービスの一部であるアクセス解析について、選定や設計、実装を進めます。逆流によって視野を広げて包括的に考えることがてきるので、アクセス解析で無理に数字を取ろうとしないで割り切ることも容易なはずです。ツールには得手不得手があるため、複数を組み合わせることも検討します。

まとめ

このように行程を下流からから逆流することで、次に繋がらない無駄を排除しつつ、全体を俯瞰しながら割り切って進めることができるようになります。現場からのボトムアップにも向いています。小さく始めて、着実に成果を出しながら展開して行けば、現場や上層部から徐々に賛同を得られるようになるでしょう。

そこまで進めた後は、もはや経営判断の領域です。十分な根拠を目前に柔軟かつ迅速な判断を下し、実行までこぎつけられるのか?落ち着いてお手並みを拝見しましょう。

次回は、実際のサイトを例として、各ステップについて具体的に解説します。

 

執筆者:清水 誠

Webビジネス歴17年。IA→IT→CMS→SEO→解析→CRMを経て渡米。ブログは実践CMS*IA (デジタルネイティブの 「子どもIA日記」も好評です)

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